引かれ者の小唄

パートタイムギャンブラーの記録

2021年の秋競馬に向けて

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早いもので、今年も残り3分の1。皆さんにとって今年、これまでの競馬はどうでしたか。

何だかtwitterとか見てると、みんな毎週のように爆勝ちしてるように思えてめちゃくちゃ不安になるんだけど、それは僕が夏競馬で毎週のように負けていたからで、だからほかの人の爆勝ちツイートばかりが過剰に印象に残っているだけで、実はみんなそんなに毎週毎週爆勝ちしてるわけじゃないよね。お願いだからそうであってほしい。そうだよね?

まぁ、自分の身近な範囲が勝っていても負けていても、競馬というギャンブルにおいては実はそこまで自分には関係ない。大切なのは自分がどのように競馬に向き合うかだ。これは別に精神論の話じゃなくて、常に多数派の裏を取る必要がある競馬というゲームにおいては、自分独自の勝ち方を見つける必要があるということだ。とにかく夏競馬がボロボロだった僕は自らの馬券戦略を構築し直す必要がある。

ボロボロだった夏競馬の後半からいろいろと新たな戦略を検討していたのだけれど、それがようやく整理できたのでまとめたい。ただ、あまり個別具体の話にはならないので、特に読んでくれる人のためにはならない話ではあると思う。まとめておくと後で自分で振り返りやすいのでまとめておきたいのと、秋競馬から巻き返していくぞという所信表明がわり。

 

 

競馬を攻略するために、まずは競馬というゲームが(自分にとって)どんなゲームかを明確にしたい。僕にとっての競馬は「過小評価されている一定以上の能力のある馬を買う」ゲーム。これが達成できれば競馬はクリア。少なくとも僕にとっては。

競馬には控除率が設定されている。この控除率の壁を超えるには、多くの人に過小評価されている馬を買う必要がある。これはマジで大切なことなので、壁に貼り紙でも貼って毎日声に出して読み返したい。競馬はとにかく「過小評価されている馬を買う必要がある」。

また、ただ過小評価されているだけでなく、一定上の能力のある馬を買わないといけない。なぜなら、そうしないとなかなか馬券が当たらないから。別になかなか当たらなくても、どこかで大きい馬券が当たればよいと考える人もいるかもしれない。例えば的中率は2%だけど当たったら万馬券、みたいな。100レース買って2回万馬券が当たれば回収率は200%オーバーになる。でも、そうした低的中率・高配当みたいな馬券は常に資金のパンクと隣合わせだ。もし確率が収束しなかったら? 外れてる間にオケラになってしまう。それに、毎週毎週負けまくって、ようやく年末に100万馬券が当たりました!みたいな生き方はしたくないのよ。「今週は勝利!」「あー今週は負けちゃった~」みたいなのを1週おきとかに繰り返したいの、僕は。だから、ぼちぼち当たる馬券を買いたい。なので、「一定以上の能力のある馬を買う」必要がある。

 

では、「過小評価されている一定以上の能力のある馬を買う」ためにはどうすればよいか。

実はこの考え方自体は一年前に気づいていて(馬券を買いだしたのが二年くらい前なので、一年後に気づいたことになる)、そのときの僕が考えたのは、「レースに出走する各馬がこれまでに経験したレースのレベルを比較すればいいじゃん」というものだった。世間の人がしていない評価方法で、出走各馬の過去レースを評価し、それを比較する。そうしたらまさに「過小評価されている一定以上の能力のある馬を買う」ことができる。

で、一年間ほとんど全てのレースについて、レースタイムを検討したりレース映像を見たりしながらレースレベルを地道に記録した。カイジの地下チンチロ編の三好みたいだね。それにしても、平日の仕事終わりにちくちく全レースのタイムを検討して映像を見て……ってのはフルタイムの家庭持ちサラリーマンには中々厳しい作業だった。僕は地下チンチロ編の強制労働者と違って平日はぼちぼち忙しいんだよ。しかもその結果、毎週毎週負け続ける夏競馬。日曜の夕方に涙が流れ落ちそうになったことは片手じゃ数え切れないね……。

 

それはさておき、前走のレースレベルが競走結果や回収率にどのような影響を及ぼすかは以下の通り。

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僕が設定しているレースレベルは、上に行くほどハイレベルで、下に行くほど低レベル評価としている。「IL」だけ独立していて、不良馬場などでタイムによるレースレベルの判定ができなかったレース。レースレベルは、基本的にタイム評価で完結しており、「勝ち上がった馬が多いから一つレベルを上げよう!」みたいな後からの補正は行っていない。

ごらんのように、勝率や複勝率と単適回値あたりの数値がレースレベルと比例しているのが気持ちいいね。複勝回収率はきれいに比例する形になってないけど、「HH」とレベルをつけたレースは世間的にもハイレベルだとバレているからあまり旨味がないのかもしれない。

 

また、レースレベルに加えて、レースの中で負荷が高い走りをしていた馬も記録していた。これによって、各レースの中で特に厳しいレースだった馬が分かる。これで、「過小評価されている一定以上の能力のある馬を買う」ことができる! と思ったんだけどね…。

結果を見てもらおう。前走のレースレベルが高く、その中でも厳しいレースをしたと評価した馬を抽出した成績は以下の通り。

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いちばん下のオレンジがかった行が全体成績。これを見ると、1年間で1000頭を選んで、勝率17.3% 連対率 30.4% 複勝率42.7% かつ 単回値120 複回値101……適度に当たって回収率も100オーバーでめちゃくちゃいい!

と思って、これらの馬を買うことに夏を費やしたんだ。でもね、ダメだった。なぜかというと、これ、よくよく各オッズ帯の成績を見ると、単勝30倍以上の単回値と複回値がめちゃくちゃ高い。これが何を表しているかというと、全体成績の高い的中率は当たってもプラスにならないオッズ帯で稼いでいて、回収率はなかなか当たらない高オッズ帯で稼いでいるという、避けたかった毎週毎週負けまくって、ようやく年末に100万馬券が当たりました!みたいなことになってるんだよね。んで、夏は負けまくった。夏の終りに100万馬券は当たらなかった。相手選びも下手で、アホみたいに毎週毎週負けまくったよ。

でも、これで一つ学んだよ。僕が目指すべきは、単勝30倍以上のオッズ帯を除いても回収率がプラスになる馬を選ぶことなんだと。

 

それで、そこからいろいろと試行錯誤した。試行錯誤の内容は秘中の秘だけれど、ついにいい感じの条件の組み合わせを見つけた。その条件でいい感じ順に印をつけて、過去1年間の成績を集計すると以下のようになった。

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◎~△は、いちおう論理的に説明できるファクターや条件づけで印をつけている。「前走○○競馬場の偶数枠番発走の馬で、今走ダート替わりの馬が…」みたいな、100超えの数値を検出するためだけの操作はしていない。見た目の数値はかなりいい感じ。

 

そして、◎と○をあわせた(◎の数が少ないので合算)オッズ帯別の成績は…。

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単勝4倍以上で、どのオッズ帯でも安定して100以上の値を出している! 的中率は以前の印よりも下がったけれど、複勝率が3割近くあるなら十分だと思う。

このあと、各種の馬券シミュレーションもしたけれど、各印を組み合わせた馬連やワイドも雑なボックスでプラス収支。いけるいけるいける! 自分のレースレベル評価と馬の能力評価をもとにした印なので、過去1年以外のバックテストができないのが不安だけど、少なくともボロボロの夏競馬よりはマシな結果が期待できそうだ。

 

ということで、秋からの競馬、新ロジックと新ルールで巻き返していきたい。これがうまくいき、ボロボロだった僕の今年の夏競馬に少しでも価値が宿るといい。夏競馬で堕ちきったことが、新ルールを生み出すことにつながったのだと。

安吾も「堕落論」でこう言っている。

 

戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。だが人間は永遠に堕ちぬくことはできないだろう。なぜなら人間の心は苦難に対して鋼鉄の如くでは有り得ない。人間は可憐であり脆弱であり、それ故愚かなものであるが、堕ちぬくためには弱すぎる。人間は結局処女を刺殺せずにはいられず、武士道をあみださずにはいられず、天皇を担ぎださずにはいられなくなるであろう。だが他人の処女でなしに自分自身の処女を刺殺し、自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人の如くに日本も亦堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。

 

僕は夏競馬で堕ちきることで、自分自身を発見して救うことができただろうか?

最後にもう一度、競馬は「過小評価されている一定以上の能力のある馬を買う」ゲーム。これを忘れないように。

明日から新たな闘いが始まる…!